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執筆者の写真北海道ピアサポート協会

【WEB連載】「私のピアサポート!2023.2月号」

【WEB連載】「私のピアサポート!2023.2月号」

小川賢一/北海道ピアサポート協会


『私にとってのピアサポート』


 私がピアサポートの力を初めて実感したのは、精神科病棟に看護師として働いていたときのことです。今振り返ると、このとき私は2つのピアサポートの形を経験していたように思います。


 1つ目は、患者さん同士のピアサポートです。助け合いの輪が自然に発生し、その中でその人らしさを発揮し回復されていく様子を何度も目の当たりにし、ピアサポートには支援者からの支援とはまた違った力や魅力があることを実感してきました。


 2つ目は、患者さんと看護師のピアサポートです。病棟で働いていた時の私は、支援者の立場でありながら、患者さんからのピアサポートに支えられていたと感じます。長い夜勤の前には、「今日の夜勤小川さんなんだ、やった!」という言葉に励まされました。また、夫婦喧嘩の愚痴をこぼした際には、「すぐ『ごめんね』って伝えてきなさい。今は携帯電話でメールとかあるんでしょう。そして帰ったら『おれも悪かったね』って言えばそれで済む話でしょう?」と諭してくれた患者さんがいました。病院を退職した際には、「物のやり取りは禁止だけど、今日は師長さんに許可もらったから」と、缶コーヒーで退職のお祝いをしてくれた患者さんもいました。


 2つ目のピアサポートの形は、『同じような立場や境遇にある人同士』という定義には一見あてはまらないかも知れません。しかし私には確かに患者さんからピアサポートを受けていた実感があるのです。では何が『ピア』であったのでしょうか。それは、『悩みながらも人生を歩んできた者同士』であったかも知れないし、『お互いに相手の幸せを願う存在』であったのかも知れません。あるいは、支援者・被支援者という関係の前に、『ただの人間同士』であったのかも知れません。結局のところ、何がピアであったかははっきりとは分からないのですが、私が信じているのは、疾患や立場に関係なくお互いの思い次第でピアになるこができ、支援する側にもされる側にもなれるということです。


 もう会うことが難しくなった今も、患者さん達とピアサポートし合った喜びや思い出が私を支えています。そんなピアサポートを、これからもずっと大切にしていきたいです。




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