
雇用者向けQ &A

インタビュー
Vol.1_001
松田さん(雇用側)

・初めてのピアサポーターとの出会いは?
皆さん若い頃から医療・福祉の業界に携わっている方が非常に多いと思うんですが、私は全然違う仕事に十何年も就いていて、30代半ばから後半ぐらいになって初めてこの業界に入った感じで、右も左もわかんない状況だったんです。そんな中、最初に働いたところはすぐ辞めてしまって、二つ目のところが、リカバリーカレッジの運営をしているところで、そこでピアサポーターというか、(障害者)手帳、(障害者)年金をもらっている人たちと一緒に働いたことがあったんです。ピアサポ、ピアサポーターという言葉を明確に出していた人もいれば、出してない人といたのですが、それが初めての出会いです。
・竹村さん(ピアサポーター)との出会いは?
私が札幌でふくちゃんを雇用したときは、ピアデザインのサポートメンバー(スタッフ)の皆さんに本当にお世話になって、お陰様で本当にいい方が来てくださって、私としては一緒に働けてすごくよかったんです。
それから転職して、今の埼玉の職場に入ったんですが、相談支援でも(ピアサポーターを雇用することで)加算が取れるということで、是非ここでも雇いたいという思いがあり、前から提案していたんですが、ようやく一年程経って、いよいよ雇おうということになった時に迷ったんですよね。またどこかに紹介してもらうか、それともハローワークに求人票を出して、普通に勝負していくのかって。
そうしたらその当時同じ地域で相川先生が聖学院大学の講師をされていて、今は埼玉の別の大学に移ってしまわれたのですが、当時私たちの事業所が聖学院大学と同じ自治体で、近かったということもあって、相川先生に相談したんですよ。一度事業所に来ていただいて。そうしたら相川先生から(一本釣りだとかそういう)紹介というのも悪くはないのだけれど、是非求人を出してトライしてほしいとお話しをいただいたんですよね。
もちろんどこからか紹介されて働いているピアスタッフの方もいるにはいるのですが、中には、「前は利用者さんで今は職員さんです」みたいな方もいて、もともと利用者だったことが影響して、長く雇用が継続出来ない、途中でいろいろ思って辞めてしまうことがある。
やはり利用者としていた時の自分というのは、体調が悪かったり、人間関係が大変だったりして、自分の一番見せたくないところを見せてしまっているといったことがあるんじゃないか、そういう見せたくない自分を見せていた支援者の人と一緒に働くということがすごく負担になって、辞めてしまう人もいるといった話を伺いました。それは一例だとは思いますが、そういった話をすごくリアルに感じました。
そんな話もあり、相川先生から埼玉県内でも今まで求人が出たことはほとんどないと思うけれど、一からやってみた方がいいんじゃないかと言われ、本当に背中を押されたような感じで、じゃあまずはやってみようと、誰の紹介も受けず、求人を出したんです。
以前ピアサポート協会の関係で架空の求人票を作っていたことがあったので、それを参考に作らせてもらい、正式にハローワークに求人を出しました。
それで応募してくれたのが、竹村さんでした。他にももちろん応募して下さった方が何人かいて、面接に行った方もあれば、書類選考、一時選考ですみませんっていう方もいて、その中で最終的に採用になったのが竹村さんだったんです。
・ピアサポーターを雇用したいと思うようになった経緯は?
その時(ピアサポーターの方と)一緒に働いていて、なんか私もすごく楽しかったんです。本当に。いろいろと話しながら一緒に活動するのが、とても楽しかった。なぜ楽しかったのか、その理由は今でもはっきりとはわからないんですけれど、ただ、今北海道のピアサポート協会の皆さんと一緒に活動していても、やはりすごく楽しいので。
・(他職員も含め)雇用する前に「ピアサポーター」を雇う事への不安はありましたか?
あんまり(ないですね)。よく聞くんですよ、支援者の方から「ピアサポーター、ピアスタッフを雇いたいのだけど、こういう時どうすればいいのか、ああいう時はどうしらたいいのか」という質問を。そして最終的には雇用に結びつかないみたいな…
私はあまりそういうのはなくて、あまり考えてないっていうか能天気というか、採用してから一緒に考えていこうよ、みたいな感じなんですよね。だから、もちろん事前にいろいろ考えてもいいのかもしれないんですけど、考えてもやはり不安があったり、ああだったら、こうだったらという最悪の状況ばかり考えてしまうと、どうしても誰でも腰が重くなってしまうと思うんですよね。(私は)あんまり考えずに雇って、実際に働いてから一緒に考えていこうっていう、そういうスタンスなんです。だから雇う前の悩みとか不安とかっていうのはあまりなかった感じですかね。
・松田さん以外の職員からピアサポーターと働くのが不安という声はありましたか?
それはなかったですけど、やっぱりピアサポーター、ピアスタッフって何?という職員も結構いる状況だったので…だから最初は、なんかよくわからないというような雰囲気は確かにあって、そこは竹村さんにも迷惑かけてしまったかなって。本当だったら事前にスタッフと「(ピアサポーターとは)こういう人たちです」というような研修を受けて、それで雇い入れるというのが良かったのかもしれないんですけど、そこまで余裕もなかったので、採用が決まってから、他の職員と一緒に同じような感じで入ってもらったんです。だからピアサポーターの知識とか全然ない職員もいて、やはりさすがにお互いを知り合うまでに時間がかかったのかなっていう…そこは竹村さんにも他の職員にもちょっと負担かけちゃったかなっていう反省点ですね。
その後、偶然に相川先生が企画しているピアサポートの研修の発表があって、それに竹村さんも発表していたんです。その研修発表は「ピアサポートを文化に!(相川章子著)」(という本を)をテキストにして、そのテキスト通りに進めていくという三日間ぐらいのもので、私の事業所の職員の一人がそれに参加したんです。参加してピアサポーターが何かっていうことをずいぶんと実感できたみたいです。それは本当に良かったと思いました。本当だったらこういった研修を全職員に受けてもらいたかったんですけど、さすがにその余裕はなかった、そんな感じでした。
竹村さんと他の職員との関係性もピアサポーターとしてというよりは、同じ職員同士という関係性の中の関わりだと思うので、ピアサポーターだから特別にという感じよりも、職員として変わらない、職員として皆さんと一緒に働いてもらってるみたいな雰囲気にはなっていると思います。そんな感じですね。
・ピアサポーターを雇用して職場に起きた変化はありましたか?
竹村さんが入って、具体的に劇的に何かが変わったというわけではないとは思うんですけど…私もこの間、目の病気をして、一ヶ月ぐらい仕事を休んでいたんですよね。他の職員も体調不良だったりいろいろな事情があって休むことがあり、今日は竹村さんが休んでますけど、まあそれはお互い様、病気だったり障がいだったり、利用者さんだけじゃなくて、我々職員もみんないろいろなものを持っている。
だからなんていうんだろうな、普通の一般企業に働いている人は、頑張んなきゃいけない、弱みを見せちゃいけない、もう辛いとか、なんか大変だとか、多分そういう雰囲気があるのかなと思うんですけど、(私の職場は、)そういう感じではなくて、私も一ヶ月ぐらい仕事休んじゃって本当に申し訳ないという思いがあったんですけど、そこはもうお互いがフォローし合っていこうみたいな。皆さん一緒に協力して働いていく、病気・障がいを持っているのはしょうがないという雰囲気は、ひょっとしたら竹村さんが入ってからより強くなったかもしれません。
だから急遽休みますってなっても、何か(空気が悪くなるような)ことは全然ない、そういう雰囲気だと思います。それこそピアサポートの土壌がより強くなっていくような…本当に人間はあまり強くないので、支え合っていきましょうっていう、そういう雰囲気がより強くなった感じはあるかもしれないですね。日本の悪い文化なのかもしれないけれど、(自分の弱さ)を出しちゃいけないっていうのがあるじゃないですか。なんか、本当にそういうのを変えていけるのがピアサポーター、ピアスタッフなのかもしれないですよね。私も目を病んでしまって、まさか自分が手術するとは思ってなかったんですけど…そんな感じです。
・雇用する上での予算や雇用形態等はどうやって決めていきましたか?(求人の作成について)
具体的にはもともと北海道ピアサポート協会(以下、協会)で(HPに掲載されている求人票の記載例で)作った求人票、今ホームページにアップされているものをベースに作っていったんですよね。だから、あそこに書いてあることがベースになっていて、それ以外となると、どういう方が(応募して)来るかわかんなかったので、9時から18時の間の5時間程度とか、いろいろな働きやすい時間帯で働けますよという設定にしました。あと、協会でも行政からの委託という形でピアサポート研修(北海道障がい者ピアサポーター養成研修)をやっていると思うんですけど、それと同じような感じで、(埼玉でも)研修が始まったので、やっぱりそこはしっかり書いた。(協会のHPに掲載されている求人票の記載例では)「病気の経験がある方」って書いたら、協会内では、それすごくいいって、評価してもらったんですが、ハローワークに掲載された求人票では、その一文は綺麗に削除されちゃいました。多分ハローワークの方もピンと来なかったのかも…「病気の経験がある方」っていうのはちょっと理解されなかったのかな、そこの細かい経緯は事業所の事務方がやったので詳しくは分からないですが、個人的にもすごく気に入っていたので、そこは残しておきたかったなと思いましたけど、その一文が削除されていたというのは結構印象的でした。
やっぱり最初から社会保険とかじゃなくて、20時間以上で雇用保険を入れるというところを想定しながら、まあその辺りはA型とか障害者雇用と同じ考えですよね。20時間以上で雇用保険に入ってもらうような感じのイメージですよね。そこは障害者求人、一般的な障害者求人と同じような考え方だと思う。
・雇用体制について、記録など個人情報の取り扱いはどうしていますか?
他の職員と同様に(記録は)全て開示して一緒に管理している。
常勤とか非常勤とかそういう話だとスモールステップで(勤務時間を延ばして)今は社会保険に加入している。
(竹村さんは)週5はまだちょっとしんどいですとお話をいただいているので、そこは本当に無理をしないで週4ペースでいいですよということと、本人としてはもう少し働きたいと(いう気持ちもあって)。そこは(様子を見ながら)やっていくっていう状況ですかね。(様子を見ながら増やしていけると)良いかなという感じですかね。
・ピアサポーターとの関係性は?
本当は、月に一回定期面談とかやればよかったかもしれないですけど、そういう設定はしなかったんですよね。なんかあったら相談していくという感じで。それでやっぱり本人に負担かけてしまった、なかなか言い出せないことがあり、結構溜め込んじゃったところもあったみたいで、申し訳なかったなと思っています。
時間ある時に話しましょうというやり方で、話してくれる時はいろんな話をしてくれたと思います。外勤が多いので、やっぱり車の中が一番話しやすい。竹村さんか私が運転して助手席にどっちかが座って話すというのが、やはりいろんな話ができたかなと思っています。
あと、最近は竹村さんも私だけじゃなくて、他の職員にもいろいろと話をすることで、ストレスを溜めないようにしているみたいなので、私だけではなくて、本当にみんなで協力しながらやっていただいているかなという感じですかね。
基本的に竹村さん単独で動くこともゼロではないんですけれども。やはり計画相談の仕事になるので、モニタリングとか計画は相談支援専門員が書かないといけないというのが原則なんですよね。だから(基本的に)私たちと一緒に同行するイメージです。竹村さんも書類にサインをもらうときに単独で行ってもらったりもしますが、正式な面談の場合は、相談支援専門員と一緒のことが多いです。サインもらう時に竹村さんに単独で行ってもらって、その時にちょっと込み入った話になるみたいなこともあるんですけれど。
竹村さん単独でということになると電話ですね。電話がかかってきて、その電話応対で、利用者さんからの話が込み入った話になって、ピアサポーターとして竹村さんが電話でサポートするみたいなことも最近は結構増えてきてる感じですね。
・ピアサポーターとの関係性以外、他職員の理解や理解促進の取り組み(研修等)の部分での葛藤はありますか?
行き詰まり感…今日も竹村さんお休みになっちゃったんですけども…これはすごく具体的な話になっちゃいますが、竹村さん、最初は雇用保険だけだったんですけども、社会保険に入りたいという本人の希望もあって、今ちょっと労働時間長くしたんです。でも、ちょっとやはり体調が…ちょうど梅雨の時期で体調崩しやすいことと重なったこともあって、今お休みが先週は週1回くらいかな、少し体調がよくない感じで。お休みで全然いいんですけれども、やはりそうなった時に(社会保険のことが)…
この件で上司とも話したんですけど、今後竹村さんがものすごく調子を崩してしまって全然行けなくなってしまった時のネックとして社会保険のこと、これは別に竹村さんのケースだけではないんですけれども、社会保険加入になって、それで頑張るんだという時に、体調不良になって、お休みが続いてしまうと、私も経験したんですけど、社会保険って働かない期間が長くなると自分で一部保険料を払わなきゃいけなくなるんですよね。それが続いちゃうと失敗体験につながる、社会保険が重荷になってくるようなことがある。
そのことはもう竹村さんとも話していて、そうならないように体調悪い時でも、休み休み出勤できるようにしていこうねって話はしてるんです。けれども、やはりどうしても今日みたいな体調の悪い日とかが出てきて、体調に波がある中で、いい時はいいんですけど、良くない時にどういうふうに出勤していって、さっきでた現実的な問題、社会保険をどうするかとか、そういったものもクリアできるかみたいなところは、これからも考えていかないといけないところだと思う。
やはり体調のことと、お金のことは、これからも一緒に考えていかないといけないのかなと思うんですよ。
職場の評価、私が一ヶ月休んでいる間、(竹村さんが)他の職員さんと一緒に本当にいろいろとやってくれいて、職場の評価が上がっていたんですよね。私が休まざるを得ないとなった時は(竹村さんも)ちょっと不安だったらしいんですけれども、逆にこの一ヶ月の間、私がいなくても問題なく活躍できるみたいな、逆に自信になったかなと思うんですよね。だから、そういう意味では、私がお休みになり、現場を離れたからこそ見えてきた良い効果があったと思うので、ずっと私が指導するというのもあまりよくないのかなって思う。一緒に働く職場の仲間みたいな感覚は本当に大事にしていきたいですよね。
・困った時の相談窓口はありますか?
実はこの間、相川先生も関わっていたような団体、ピアサポーターというか、ピアスタッフっていうか、ピアな集まりのようなものがいくつかあるみたいで。私はピアじゃないんですけど、支援者みたいな立場でそれに参加したんです。竹村さんも何かあった時には、それに参加しているという話は聞いています。ただあんまりピアサポーター、ピアスタッフとして働いているっていう人というのがそんなに多くない。だから、そこで具体的に相談してるかというのは、本人(竹村さん)に聞いてみないとわかんないところもあるかな?
相川先生と一緒に活動している2名の方がいて、私もこの間その内の1人とお会いして、ちょっとお話する機会があったんですけど、その方から聞いた話の感じでは、同じピアスタッフとしての話し合いっていうのは出来ているようなんですけど、おそらくまだまだピアスタッフって本当に少ないんですよね。そこの話は聞いてみないと分かりませんが…
・未来の展望は?
心身ともにお互い健康でやっていけるといいかな。私も(目の)病気になっちゃったし、竹村さんも今日お休みだったりとかするから。なるべく健康に働いていくっていう…この仕事、対人支援だし、感情労働でもあり、ストレスがたまる大変な仕事だから、どうしても抱え込むことはある。竹村さんもいろいろ抱え込んでると思うんですけど、そういうのもね、その都度話し合って、いろいろ一緒に考えたりとかして、何とか乗り越えていきたいですね。これからも一緒にお互いがなるべく健康に働けたらいいかなと思います。あと、やっぱり計画相談という仕事は、結構忙しいので…この地域でも、18歳以上の障がい者(の計画相談)を受け持って、新規も受けてるのがとても少ないんですよね。どこもいっぱいで、もう新規は受け付けてませんとか、事業所が潰れちゃったりだとか…そんな状況で計画相談をやってるいるんです。
その状況については、地域の自治体、行政の方も分かってるようで、だからもう本当にひっきりなしに、新規の依頼とか、あとはお願いしますみたいな連絡が来ているので、これからも本当にバタバタする毎日だと思うんだけれども。そういった状況の中でも本当になるべく健康でお互いが(仕事を)こなしていけるといいかなと、本当にそれだけを思っています。

