【WEB連載】「私のピアサポート!」2025.11月号
- 北海道ピアサポート協会

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【WEB連載】「私のピアサポート!」2025.11月号
今回の投稿者:西田久美子さん
「つばなの会」があるということ
(②私にとってのピアサポート)
西田久美子/女性のがん当事者会「つばなの会」/京都市
がんに罹患し、家族に弱音を吐くことも出来ない孤独な日々を送っていたあの頃。一人で車を走らせて、車の中で大きな声で泣き叫んでいました。気がついたら自宅から100㎞以上離れた所まで来ていた時も・・・。なぜ、自分ががんにならなければいけないのか、何が悪かったんだろうかと自問自答する日々が続いていました。
誰かと話したい、そう思って探したのは自分と同じ立場の仲間でした。ネットで見つけた遺伝性の患者会。病院の片隅、小さな一部屋でその会は開かれていました。そこで話すことで、私は病気になって初めて、笑い、共に泣くことが出来ました。「一人じゃないんだ」という心強さが自分を支えてくれたと思います。
会に何度も参加し立ち直っていくにつれ、「私は救われたけれど、もしかしたら私の近くに今泣いている仲間がいるかもしれない。私にも何か出来ないだろうか。集まれる場を作りたい。」そんな思いを持つようになりました。しかし、ピアサポートがしたいという大それたことはその時は考えていませんでした。私自身にそんな力があるとは思えなかったということもあります。ただ寄り添える場が欲しかったのです。
しかし、会を作ると言うことはそんな簡単なことではありませんでした。どこでやるのか、誰を対象とするのか、どうやって周知するのか、全てが手探りの中でしたが、本当に幸せなことに私にはサポートしてくれる方がたくさんいてくださいました。カウンセラーの先生、通っていた病院のバックアップ、がん連絡協議会のサポートなど本当に大きな力に支えられ助けてもらいながら2020年の8月「つばなの会」を立ち上げることが出来たのです。
コロナ禍であったため、オンラインのおしゃべり会という形でスタートしました。リアルで会う会を企画したこともありますが、医療者や治療中の方が参加しやすいというメリットがあるため、現在もそれが中心のおしゃべり会を月に1回行っています。
本当に小さな会です。月に1回、オンライン中心。いつ無くなってもおかしくないくらい細々とした活動ではありますが、今年で始めてから5年たちました。抗がん剤やそれに伴う脱毛が嫌で仕方ない方、不安でたまらない方、仲間が欲しい方たちが参加して下さっています。その多くは治療が終わり落ち着かれたら日常に戻っていかれます。私はそれでいいと思っています。少し傷ついた羽を癒やす・・・そんな場所であればいいのです。
ピアサポートというのは一人が皆をサポートすることではありません。突然がんに罹患し、戸惑い悩み怯え、孤独に闘わざるをえなくなった当事者にとって、同じ経験を共有し思いをわかってくれる仲間と出会える場があること、それが救いになり、病気や治療の苦しさを乗り越える力になるのだと感じました。「つばなの会」が「そこにある」ということを大切にし、これからも続けていきたいと思います。


